研究内容
NLRP3インフラマソームに関する研究
NLRP3インフラマソームと呼ばれる細胞内分子の複合体が、痛風、動脈硬化、肥満といった病態の無菌性炎症惹起に関わる重要な自然免疫経路として注目されています。これまで様々な無菌性の炎症性疾患におけるNLRP3インフラマソーム活性化の機構について解明してきた経験を生かし、現在はこれを制御する薬剤を効率的に探索し得る手法の開発に取り組んでおります。NLRP3インフラマソームを制御する新たな薬剤が同定できた際は、実際に病態モデルを作成し個体レベルで効果があることを示しNLRP3インフラマソームが無菌性の炎症性疾患の治療標的になることを明らかにしたいと思います。
鶏卵を介したバイオ医薬品製造に関する研究
近年、抗体医薬品を中心としたバイオ医薬品が医薬品売り上げの上位を占め始め、シェアを拡大しています。中でも抗体医薬品はがんやリウマチの治療で非常に高い治療効果を発揮し、これらの疾患で苦しむ患者さんにとって大変ありがたい存在です。一方で大量生産に至るまでに多くの時間と費用を要し、薬価が高くなってしまうことが課題となっています。そこで我々は有用な抗体医薬品を大量にかつ安価に生産させる技術として、鳥類が持つ卵黄中への抗体移行システムを介した抗体医薬品の大量生産技術の開発を目的としています。またニワトリを食用やインフルエンザワクチンの生産だけでなく、抗体産生という新たな用途を生み出すことで、家禽業界全体の活性化にも貢献したいと考えております。